今回、語釈を引用した国語辞典は
『広辞苑 第六版』
きみ【君】
◇ 語釈
―名詞―
①人のかみに立って支配する者。
・国家の元首。帝王。君主。
・自分が仕える人。主人。主君。
②人を敬って言う語。
・自分に優越する人。(古語で男から女をいう時には、多くはこの意)
・女から男を、親しみをこめた言う語。
・(「~の君」の形で)敬称的に使う。
③古代の姓(かばね)の一つ。
④遊女の異称。遊君。
―代名詞―
男の話し手が同輩以下の相手を指すのに使う語。あなた。おまえ。
◇ 解字
形声。口+尹声。尹は、神事をつかさどる族長の意。のりとの意を表す口を付加し、きみの意を表す。
◇ 語源説
①カミ(上)
②クン(君)
③キ?+ミ[「海」「波」「臣」等と同類の接尾辞]
④カン(干)/カ(加)[古代朝鮮語]
◇ 私見④
赫居世居西干という、新羅の初代の王がいた。居西干は、高句麗の官位名の古鄒加(こすうか)を新羅語に音写したものと考えられている。毎回書いているが、古代朝鮮語の復元は不確かなものである。
◇ その他
『万葉集』で用いられる「君」は、慕う相手に対しても使われている。
宇良故非之 和賀勢能伎美波 奈泥之故我 波奈尓毛我母奈 安佐奈々々見牟 うら恋し 吾が背の君は なでしこが 花にもがもな 朝な朝な見む |
朝宿髪 吾者不梳 愛 君之手枕 觸義之鬼尾 朝寝髪 吾れは梳らじ うるはしき 君が手枕 触れてしものを |
この用法が尊称とは異なる点を留意したい。
◇ 私見
完全に私見だが、ka(加)→ ka + mi(接尾辞)→ ka-mi(上)→ ki-mi(君)かもしれない。
ふんわりとしたまとめ
君の語源は、分からない