今回、語釈を引用した国語辞典は
『集英社 国語辞典[第3版]』
かえで【楓/槭】
◇ 語釈
カエデ科カエデ属の落葉樹の総称。葉は手のひらの形で、秋に紅・黄葉する。材は建築、器具用。イロハカエデ・イタヤカエデなど。モミジ。
◇ 解字
【楓】形声。木+風声。風は、かぜの意。風を媒介にして種子の飛ぶかえでの意を表す。
【槭】形声。木+戚声。
◇ 語源説
蛙の手
◇ 私見
万葉集 | 783年頃 | 黄変蝦手 | もみづるかへるて |
新撰字鏡 | 892年頃 | 加戸天 | かへで |
和名類聚抄 | 938年頃 | 賀倍天乃木 | かへでのき |
加比留提乃木 | かひるでのき | ||
枕草子 | 1001年頃 | かへで | かへで |
平家物語 | 1221年頃 | かいで | かいで |
易林本節用集 | 1597年頃 | 鷄冠木 | かいでのき |
書言字考節用集 | 1717年 | 楓 | かへで |
『万葉集』の例に挙げた「蝦」は蛙を意味するため、カエデの語源が蛙の手であることは確実だと思われる。
◇ その他
・カエルは、前肢に4本の指がある。一方、イロハモミジの葉は、掌状に深く5~9裂する。指の本数は違うが、常に大きく開いているかのような蛙の手は、カエデの葉に似ている。しかし、人間の手に例えるのは気持ち悪いと思う。
・古くは、肩から指先まで全体を「手」と言った。楓が「かへるて」と呼ばれるようになった時、既に手は現在と同じ部位を指していたのだろうか。
(手の語源はこちら)
・平安時代末期から用いられている「楓」はマンサク科のフウを表す字であり、『万葉集』では「カツラ」と読ませている。カエデの正しい漢名は「槭」であるが、「楓(カエデ)」が間違いだと言いたいわけではない。
ふんわりとしたまとめ
楓の語源は、蛙の手
参考
- 木の名の由来
- 暮らしのことば 新語源辞典
- 広漢和辞典
- 語源海
- 集英社 国語辞典[第3版]
- 日本語源大辞典
- Wikipedia –イロハモミジ–