「もみじ」の語源

今回、語釈を引用した国語辞典は
『集英社 国語辞典[第3版]』

もみじ【紅葉/黄葉】

◇ 語釈
①秋に木の葉が赤・黄色などに変わること。また、その葉。こうよう。
②カエデの異称。

かえでの語源はこちら

◇ 解字
【紅】形声。糸+工声。工は烘に通じ、あかいかがり火の意。赤い糸の意から一般に、あかいの意を表す。
【黄】象形。甲骨文は、大+口。大は人の象形。口は腰におびた玉の象形。腰におびた玉の色から、きいろの意を表す。(諸説あり)
【葉】形声。艸+枼声。枼は、金文でみられるように、象形。木のはをかたどり、木の葉の意を表す。のち、艸を付加した。

語源説
もみつ[紅葉するの意]

動詞連用形名詞化
奈良時代以前黄葉つ(もみつ) [四段活用動詞]もみち
平安時代以降紅葉づ(もみづ) [上二段活用動詞]もみぢ

私見
「もみつ」の語源は、色を揉み出すこととされている。弥生時代の吉野ヶ里遺跡から染めた絹の遺品が出土していることから、有史以前より日本独自の染織があったと考えられている。したがって、「もみつ」の語源が染織に関連していても不思議ではない。
「もみつ」の「つ」は、「勝つ」「立つ」「待つ」「分かつ」と同類の、動詞の接尾辞かもしれない。

醍醐寺

もむ【揉む】

語釈
①てのひらで包んだり指先で挟むようにして何度も物に圧力を加える。そのようにして柔らかくする。
②力を加えて強く揺する。大勢で入れ乱れて押し合う。
③(受け身の形で、比喩的に)つらい経験を重ねる。
④意見を出し合ってよく検討する。
⑤(スポーツなどで)相手を鍛える。しごく。

語源説
①摩(さす)る音
②籾(もみ)

私見①
大言海によると「摩ル音」らしいが、「モム」が摩る音とは思えない。

私見②
籾から籾殻を摺り落とす労働が「揉む」の語源になったというこの説は、生きることや暮らすことに直結しており信頼したくなるが、可能性の一つにすぎない。

その他
筆者が、日本語で育っているからなのだが、揉むときの擬音語は「もみもみ」の他に考えられない。当たり前なのだが、どの国語辞典にも「もみもみ」は載っていなかった。「も」には曲線的なイメージがある。

森の語源はこちら

ふんわりとしたまとめ

もみじ ← もみつ ←(色を)揉み出す


参考

  • 暮らしのことば 新語源辞典
  • 広漢和辞典
  • 集英社 国語辞典[第3版]
  • 続・国語語源辞典
  • 大言海
  • 日本語源大辞典
  • Wikipedia – 日本の染織工芸

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