「梨」の語源

今回、語釈を引用した国語辞典は
『広辞苑 第六版』

なし【梨】

◇ 語釈
バラ科の落葉高木。日本の中部以南および中国大陸に自生する原種から、それぞれ独立に果樹として改良。葉は卵形。4月頃、葉と共にサクラに似てやや大きな白花をつける。果実は大形で球形、外皮に小さい斑点があり、食用。大別して「長十郎」に代表される赤梨と「二十世紀」に代表される青梨とがある。ありのみ。「梨の花」は春の季語、「梨の実」は秋の季語。

解字
形声。木+禾匁(匁の右払いはない)。禾匁は利の古字。果樹。なしの木。

語源説
①ナス(中酸)
②奈子/柰子
③端無し(つまなし)
④nāshpati[ヒンドゥスターニー語で梨の意]

◇ 私見
古代の梨は、現代の梨と異なり、ヤマナシという種類で、実の中の核(さね)が酸渋(すしぶ)だったらしい。しかし、こじつけのように感じる。

私見②
朝鮮から渡来した、カラナシを意味する柰子(ないし)の字音によるというが、和名類聚抄(938年)では、「木柰」(木部+柰)と「梨子」の項目を分けている。『本草和名』(918年)でも同様に、「柰」と「梨」を区別している。したがって、誤りだと思われる。

私見③
底の部分が著しく窪(くぼ)んでいて、端(つま)がないという意味で「つまなし」といい、「つま」が脱落して「なし」と呼ばれるようになったという説だが、これが広く支持されているようだ。

私見④
ベンガル語では梨を “nāspāti” という。
梨は、弥生時代に、人の手によって大陸から持ち込まれたとされている。それは、登呂遺跡などから食用にされたとされる梨の種子が多数見つかっていて、また、自生地が人里周辺に限られているからである。したがって、梨が外国語である可能性はある。しかし、これは、偶然に過ぎないと思われる。

その他
梨の異名である「有の実」は、「梨」が「無し」に通ずるのを忌んでいったもの。地名の「亀無」が「亀有」に変わったのと同じ。

ふんわりとしたまとめ

梨の語源は、「端(つま)なし」かもしれない


参考

  • 木の名の由来
  • 広漢和辞典
  • 広辞苑 第六版
  • 国語語源辞典
  • 語源海
  • 植物和名の語源探求
  • 日本語源大辞典
  • Wikipedia –亀有
  • Wikipedia –ナシ

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