今回、語釈を引用した国語辞典は
『岩波 国語辞典 第七版 新版』
おとな【大人】
◇ 語釈
①一人前に成人した人。
②〈「―だ」「―に」の形で〉㋐老成していること。「彼はなかなか―だ」㋑(子供が)おとなしいこと。静かにしていること。「坊やは―だね」▽㋑は「おとなしい」の語幹。
◇ 解字
【大】象形。両手両足をのびやかにした人の形にかたどり、おおきいの意を表す。
【人】象形。横から見た人の象形で、ひとの意を表す。
◇ 語源説
①大人成(オホヒトナリ)
②大人名(オホヒトナ)
③大人男(オトナ)
④乙名(オトナ)
◇ 私見④
乙名は一族の長という意味である。次の外国語が参考になる。
アイヌ語 | otop (otoh)「頭髪」 | oto-「頭」、p「物」 |
アイヌ語 | ottena「首領、頭目、酋長(しゅうちょう)」 | na→niu「人(助数詞)」 |
ウイルタ語(オロッコ語) | ödö-nare「頭、人」 | ödö「長、頭目」 |
朝鮮語 | əlun(オルン)「成人」 |
日本語も、「乙名」を「首名」と書くことから、オトには頭の意があると推測する説がある。大人・男・乙女などが、この「オト」を同源にしているかもしれない。
こども【子供】
◇ 語釈
①幼い子。児童。
②自分のもうけた子。むすこ、むすめ。子。▽もと、「こ」に「ども」の付いたもので、子ら、多くの子の意。
◇ 解字
【子】象形。頭が大きく、手足のなよやかな乳児の象形。
【供】形声。人+共声。共はそなえるの意。共に、ともにするの意があるので、人を付して、主としてそなえるの意に用いる。
◇ 語源説
①小(コ)
②凝る(コル)[体内で凝りて子となる]
③「孩」の古音 ko
◇ 私見①
一応、②&③の説を挙げたが、①の説が妥当だろう。
◇ その他
子供の「ども」は複数を表す接尾辞で「私共(わたくしども)」「男共(おとこども)」などと同じ。供は借字であり、子等(こども)と書く例もある。
ふんわりとしたまとめ
大人は、乙(オト)+名(ナ)
子は、小(コ)+ども
参考
- 岩波 国語辞典 第七版 新版
- 暮らしのことば 新語源辞典
- 広漢和辞典
- 続・国語語源辞典
- 大言海
- 日本語源大辞典