今回、語釈を引用した国語辞典は
『明鏡国語辞典 第二版』
て【手】
◇ 語釈
①人の両肩から分かれ出ている部分。うで。▽動物の前肢をいうこともある。
②手首から指先までの部分。特に、てのひら・指先などをさすこともある。
(⑰まであるが省略)
◇ 解字
象形。五本の指のあるての象形で、ての意を表す。
◇ 語源説
①トリ(取り)
②イデ(出で)
③外来語から
◇ 私見③
次の表に、外来語説の根拠とされるものをまとめた。(毎回コピペしているが)非歴史的な類似語並列にはあまり意味がない。
語族 | 語派/語群/諸語 | 言語 | 手の意 |
孤立言語 | ― | アイヌ語 | tek |
ドラヴィダ語族 | 北部ドラヴィダ語派 | ブラーフーイー語 | dú |
シナ・チベット語族 | チベット・ビルマ語派 | ナガ語 | tak-het |
Sal languages | サク語 | taku | |
カレン諸語 | スゴー・カレン語 | su, tsu | |
オーストロアジア語族 | モン・クメール語派 | ベトナム語 | tay |
セノイ語(サカイ語) | tik, tig, taku | ||
北部ムンダ語群 | ホー語/サンタル語 | ti | |
マレーポリネシア語派 | ジャウィ語 | te, ti | |
マレー語 | tanan, tangan | ||
マダカスカル語 | tanana | ||
ニコバル諸語 | カー語 | tai | |
エスキモー・アレウト語族 | ― | アレウト語 | tag |
アフロ・アジア語族 | ― | エジプト語 | tet |
[参考]英語 “take”、古英語 “takan”
◇ その他
・岩波古語辞典では、手は古形「タ」の転としている。
・アイヌ語 “tek” が日本語から入ったとして、古くは日本語で手をテクといったとする説がある。
・1音だと語源の特定は不可能に近いために、音が持つイメージを考えたくなる。タ行は、「タンタンタタタン」「テクテク」「トントン」などのオノマトペがあるように、リズムを取るときに使うように思われる。もしかしたら、この音のイメージが「タ(手)」もしくは「タタク(叩く)」に通じているかもしれない。
ふんわりとしたまとめ
手の語源は、分からない
参考
- 岩波 古語辞典 補訂版
- 広漢和辞典
- 国語語源辞典
- 明鏡国語辞典 第二版
- 日本語源大辞典
- Online Etymology Dictionary –take–