今回、語釈を引用した国語辞典は
『集英社 国語辞典[第3版]』
わた【綿】
◇ 語釈
①アオイ科の一年草。種子の周りの白く長い毛(綿毛)から繊維をとる。また、種子からは綿実油をとる。
②①からとった繊維の柔らかく軽い塊。防寒用に衣服や布団の中に入れる。木綿綿。
◇ 解字
【綿】会意。系+帛。糸はつなぐの意。いとを連ねつなげて、きぬを作るの意から、絶えることなく連なるの意を表す。
【棉】(広漢和辞典に記載なし)
◇ 語源説
①ワタ(腸)
②badara/vadara[サンスクリット語で絹]
◇ 私見①
衣類の中に詰めるものであるからという説の他に、蚕の腸(ハラワタ)と考える説がある。綿は現在、木綿(きわた)をいうが、上代は絹綿をいった。次の表に、布(繊維)の歴史を簡単にまとめた。
古代 | 木綿(ゆう)[原料は楮(こうぞ)]が作られる |
縄文時代早期 | 麻布の原料となる麻が伝来する |
縄文~弥生時代 | 絹綿の原料となる蚕が伝来する |
799年 | 木綿(もめん)の原料となるワタが伝来する |
『日本後紀』(840年)によれば、ワタは799年に三河国に漂着した崑崙人(チャム人)によって伝えられたとされる。
◇ 私見②
サンスクリット語「badara」は、シルクのほかに水という意味がある。これが、枕詞の「わたの原」等に用いられるワタ(海)にも通じているとする説があり、説得力がある。
ふんわりとしたまとめ
綿の語源は、分からない